やっとモーショントレースができるようになったので解説です。
まだまだ未熟者ですが、これからモーショントレースを始めたい方の参考になれば幸いです。
使う準標準ボーンは上半身2、グルーブ、腕捩り、手捩り、親指0です。
準備
動画の用意
動画を用意します。
動画を背景Aviとwavファイルに変換します。
こちらの記事を参考にして下さい。
MMMのダウンロード
トレース作業にはMMMの方がおすすめです。
この記事ではMMMの使用を前提に話を進めます。MMDでもトレースは可能なので、MMMが動かない方やMMDの方がいいという方は適宜話を読み替えて下さい。
モデルの準備
トレースに使うモデルを用意します。
スカートやひらひらの袖など、体のシルエットがわかりにくいモデルは避けた方が無難かと思われます。
私の方法では、モデルに足切IKプラグインを適用します。足切IKとは簡単に言うと、足IKを伸ばしすぎた時に足がひっくり返るのではなく、伸びるようになる構造のことです。個人的には足回りがかなりトレスしやすくなるのでおすすめです。足切IKで作成したモーションは普通のモデルに流し込むことができます。(私の場合、技術が未熟なので微調整は必要です)
足切IKの導入にはP.I.Pさんのプラグインを推奨します。
足切IKに関してはP.I.Pさんのブログをご覧ください。
足切IKプラグインを適用したら、必ず別名保存して下さい。
また、私はつま先とかかとにダミーボーンを追加(親は足首)しています。つま先は使用頻度が高いのでそちらだけでも入れるといいかもしれないです。
こちらに関してもP.I.Pさんのブログをご覧下されば。
最後に、表示枠を整えます。
すわとうさんのボーン表示枠並べ替えプラグインを使います。
BoneFrameSorter0210.zip (BoneFrameSorter0210.zip) ダウンロード | すわとうのMMD関連保管庫 | uploader.jp
定義ファイルですが、私は以下のようにしています。
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/// ///
/// ボーン表示枠並べ替えプラグイン用定義ファイルのサンプルです ///
/// ///
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+センター
全ての親
任意中心回転
センター
グルーブ
+体幹
下半身
上半身
上半身2
首
頭
+左足
左足IK親
左足IK
左足
左つま先ダミー
左踵ダミー
+右足
右足IK親
右足IK
右足
右つま先ダミー
右踵ダミー
+左腕
左肩P
左肩
左腕
左腕捩
左ひじ
左手捩
左手首
+右腕
右肩P
右肩
右腕
右腕捩
右ひじ
右手捩
右手首
+左指
左親指0
左親指1
左親指2
左人指1
左人指2
左人指3
左中指1
左中指2
左中指3
左薬指1
左薬指2
左薬指3
左小指1
左小指2
左小指3
+右指
右親指0
右親指1
右親指2
右人指1
右人指2
右人指3
右中指1
右中指2
右中指3
右薬指1
右薬指2
右薬指3
右小指1
右小指2
右小指3
IK親は使わないので表示枠を分けた方がいいかもしれません。
multimonitorのDL
ビームマンPさんが作られたエフェクトで、私は横からの角度を常にチェックする用途で使います。センターz軸が下がりすぎていないかのチェックです。
今回はMoggさんとP.I.PさんがMMM向けに改変されたものを使用します。
MMMでは、エフェクトを読み込むときfxファイルかfxmファイルを投げ込みます。
ポーズ・モーション適用支援ツールを導入
マスク・ザ・春原さんのプラグインです。指ポーズを作る時に使います。
DLしたらプロパティでセキュリティのチェックを外し、PoseSelectorPlugin.dllとPoseSelectorPlugin_InitialData(フォルダ)をMMMのPluginsフォルダに入れて下さい。
リップを作る
私は後述のブックマークを活用するために、先にリップを作ります。(ブックマーク機能はキーが先に打たれていないと使いづらい)リップを作らない場合はMMMに動画を読み込んだあとに、適当に動画の最後のフレームの照明にでも空キーを打って下さい。
リップ作成にはRhythmicaLyricsを使います。
歌詞を書いたtxtファイルを用意します。歌詞はひらがなに変換してしまった方がやりやすいです。漢字→ひらがなの変換は以下のサイトが便利です。
txtファイルとwavファイルを投げ入れ、曲を再生し、shiftキーでタイミングを打っていきます。右上のバーで再生速度を遅くするとやりやすいです。
RhythmicaLyricsでVSQファイルを出力したら、MMMで0フレーム目に移動し、VSQからリップ作成を押します。
するとリップができると思います。ただ、この時に作ったリップは口の動きがカクカクしています。私はリップにあまりこだわりがないので、モーフのキーフレームの山の形が台形から三角になるように、台形の後ろのキーを消去してそれっぽくしています。
トレスの流れ
トレース元にモデルを重ねてトレスしていきます。
カメラを初期位置に合わせたあと、
- 足IK
- センター・グルーブ
- 下半身・上半身・上半身2・首・頭
- 足
- 肩・腕・腕捩り・ひじ・手捩り・手首
- 指
の順でトレースします。足IKを100fつけたらセンター・グルーブを100f…というように、大体100f単位で繰り返してトレースしていきます。モチベの問題もありますが、特にセンターと足IKは位置関係がかなり繊細で、一気につけてしまうと修正が大変だからです。慣れないうちは50fくらいがいいかもしれません。また、この繰り返しをするときにMMMのブックマーク機能が役立ちます。
トレースにあたり百舌谷さんの動画講座で大いに勉強させてもらいました。とても素晴らしい動画で、この記事でも視聴を前提に話を進めるので、是非ご覧ください。
足IKからつけるメリットは足がトレス位置からズレにくくなることと重心の位置が決めやすくなることで、センターから先に付ける方法に比べて重心位置の手戻りが発生しない分作業スピードが早くなります。本来はセンターを先に動かし足ボーンを同時に動かしていかないと足IKの位置は決めづらいのですが、足切IKがそれを可能にしています。
補間曲線ですが、私はセンターとグルーブ以外あまりつけません。うまく使いこなせないのです…。グルーブもつけない方が自然になることが多いです。腕、体幹はカクっとした動きをわざと出したい場合のみつけることがあるかなといった感じです。足、指は原則つけません。2つのキー間が等速移動じゃない場合は補間を使って表現するのではなく、百舌谷さんの動画にもある通り速さが変わる場所で中点のキーを打つイメージで割と問題ない感じです。
トレスが一通り終わったらvmdを出力し、通常モデルに流し込んで微修正を行います。
トレス準備
トレースモデルと動画、楽曲を読み込みます。
作成したリップをモデルに読み込みます。
multimonitor.fxmを投げ入れて、モデルの横向きが映るようにします。
MMMではエフェクトは左下の★マークのタブで操作します。
参考に私の数値を紹介しておきます。x13y11z50 Rx0Ry90Rz0です。
カメラを初期位置に合わせます。合わせ方は百舌谷さんの方法がいいと思います。
足IK
接地はほぼ百舌谷さんの方法と同じです。
以上の5点をつけていきます。
順番としては
- ①と⑤のキーを打つ。
- ②に①、④に⑤をコピペする。
- ②と④をつま先立ちにする。
- ③を打ち、GlobalY軸で上に上げる。
となります。百舌谷さんと違い、私は補間曲線を原則使いません。
⑤のキーを打つ時は、ボーン初期化をしてから回転・移動させるといいです。ボーン初期化は他のボーンでも積極的に使っていきましょう。このときの足IKの回転はY軸のみです。移動にはGlobal軸を使った方がやりやすいです。
②、④のつま先立ちは、足IK→つま先ダミーの順にShiftを押しながら選択し、LocalX軸で回転させるとできます。このときつま先ダミーにもキーが打たれますが、すぐに削除するようにして下さい。
③は足が上がっているところに打つと良いです。
前に出ている・後ろに下がってると判断した時はZ軸を動かすことも忘れないようにして下さい。
体全体が後ろを向いているときなどは足IKが打ちづらいので、一時的に上半身と下半身をひねっておきます。その場合、後で消します。
この時点では本当にこれでいいのかかなり不安な動きをしますが、センターとグルーブをつけると違和感がなくなるのでそれを信じて次に行きましょう。
センター・グルーブ
センターはx軸移動とz軸移動、グルーブはy軸移動に使います。回転はさせません。
z軸の動きはmultimonitorで確認しながらつけましょう。
頭の先でもいいですが、私はおへその位置を見ながらつけることが多いです。
グルーブには少し気をつけて下さい。足が本来届かないほどグルーブの位置を上げてしまうと足が伸びます。足が伸びている場所は通常のモデルに流し込んだとき空中に浮くようになります。なので、足が伸びすぎないように注意してグルーブをつけましょう。私は、下のタブで数値を見ながらジャンプしている時以外はyが0以下になるようにして伸び過ぎを防いでいます。まあ、トレースが一通り終わってから通常モデルで修正するのでそこまで気にしなくても大丈夫です。
補間曲線はS字(MMMでは1番)をつけることが多いです。
下半身・上半身・上半身2・首・頭
足の向きとトレース元を見ながら同じポーズになるようにつけていきます。私はまとめて体幹と呼んでいます。体幹はセットでつけます。
キーを打つタイミングは、迷ったらセンターとグルーブを基準にすると良いです。あとは動きの端と端をつけるイメージですね。
なるべく全てのボーンが動くようにつけましょう。その方が自然に見えます。
上半身と下半身は同時に回転することが多いです。(MMM限定機能です。)上半身と下半身の回転方向が違いすぎると、モデルがねじ切れてしまうことがあるからです。トレース元が上半身をひねっているように見える時は、上半身より上半身2をひねらせます。
足
足首は使いません。
基本、足IKの向きと同じで大丈夫だと思います。
ここは足切IKと通常足IKで違う場所で、足切IKで接地しているように見えても、通常足IKに流し込むと接地がうまくできてない場合があります。ちゃんと足切IKで正確に足IKの向きに合わせられていれば接地は綺麗になるはずなのですが、私は未熟なので通常モデルに流し込んだ際修正が必要でした。というわけでこの時点では足はあまり時間をかけず、ざっくりで大丈夫です。修正もそんなに大変じゃないので心配しないで下さい。
下半身が動くと足の接地も変わります。それをキャンセルする形で足を付ける必要があるのです。足と下半身の関係はこちらの動画が参考になります。
腕
一番の難所です。肩~手首はセットで付けます。
動きの端と端となりそうな場所のポーズを2箇所、まずつけます。再生してみるとそれでは変な動きになる場合が多いので、中間の動きにトレース元と明らかに違う動きをしている場所を探して、その中間点の修正した動きのキーを打ちます。再生してみると違和感が大分なくなると思います。それでも変な動きになったら間の動きにトレース元と違う動きがないか探します。でもこれが…なかなか自然な動きにならないのです…。難しいです。
腕を上げる時は肩もちゃんと動かすといいです。
指
マスク・ザ・春原さんのポーズ・モーション適用支援ツールを使ってつけます。
オプションからポーズ適用後にキーフレームを打つにチェックを入れておくと、キーフレーム登録の手間が省けます。
グルーブと足の修正
一通りトレスし終わったらモーションを出力し、通常モデルに流し込みます。
修正するポイントは2つあります。
- 足が浮いてしまう
- 足がグラついてしまう
足が浮くのは主にグルーブの上げすぎが原因です。グルーブを下げてキーを打ち直しましょう。multimonitorでチェックしていれば大丈夫とは思いますが、たまにセンターz軸の位置がおかしいのが原因の場合もあるので、その場合はセンターも直します。
足がグラつくのは足ボーンを直すと治ります。グラつく場所の足ボーンのキーを修正しましょう。足を回してもおかしいなという場合には下半身ボーンも見直してみるといいかもしれません。接地の確認には地面影かworkingFloorを利用するといいです。
これにてトレス完了です。お疲れ様でした!